若い女性の持つ繊細でデリケートな感じがよく出ていたと思う。
しかも、舞台が大阪という点がよかった。主人公の女性など、主要な登場人物が自分が生まれて育った街を愛している様子が、何かいい。
大阪というと、ついつい、漫才などの影響で、うるさくてガサツ、という型どおりのイメージしかなかったせいで、余計、この2つの点が目立った気がする。
あと、主要なモチーフとして、女主人公と、彼女が何となく親しくなる男性の2人が、ともに昔の大阪(主人公たちが生まれるよりもずっと昔、50年前とかもっと前の大阪)の写っている写真にものすごく興味があるという点も、何故か、すごくよかった。何十年の大阪のある場所、いまはまったく違った様子の場所の写真を見て、そこを実際に見てみたいと思う主人公の気持ちを、そのまま違った形で小説にしたのが、ジャック・フィニーだと思うけど、ジャック・フィニーの小説が好きだったように、私にはそんな気持ちのあり方がよく分かる。
女主人公とその男性が親しくなるポイントとして、そんな変わった趣味、関心が共通しているということがあると思う。自分が好きなことを一生懸命説明した後「それって、何が面白いの?」と聞かれたら、その人とは、根本的な価値観、趣味が合わないと思うのではないかな。逆に、ちょっと説明しただけで、「それって、面白いよ!!」という反応がある人は、かなりの確率で趣味・関心が近いということが分かる。
そういう部分が、人と人との相性ということなのだと思う。
そんなデリケートな部分も、いい感じで描かれていて、読んでいい気分になった小説だった。
ナベ<2009年7月5日>(柴崎友香「その街の今は」新潮文庫 160ページ弱)
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