2008年11月27日

「あなたに、大切な香りの記憶はありますか?」は、水準の高い競作短編集だった。

「あなたに、大切な香りの記憶はありますか?」という短編集を読む。
阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、朱川湊人、重松清、高樹のぶ子という、いま第一線で活躍中の作家の競作。
もとは、コーヒーメーカーのPR用WEBに掲載されたもので、題名にあるように香りと想い出というものをテーマとした短編8編が収められている。8人の作家が、このテーマを各人なりの切り口で8つのストーリーに仕上げている。8人の個性と力量がよく出ていて、とても出来のいい短編集だと思った。ひとつとしてつまらない短編はなく、全体のバランスもいい。
何の香りを題材にするかというところで、朱川湊人は、数十年前の大阪下町の市場の雑多な香りを、阿川佐和子は材木の香りを出して来て、これらは素直に受け取れた。重松清のコーヒーの香りというのは、コーヒーメーカーのPR用なのだから基本といえばそうだけど、こんなに正直でいいのかな、と思ってしまったのは、オジサン読者の深読み。。。
重松清の「コーヒーもう一杯」は、オジサンとしては、ちょっとほろ苦くて懐かしい世界を描いていて好きなのですが・・。
朱川湊人の「いちば童子」は、この作家らしい世界が展開されていて、一番好きだった。高樹のぶ子の「何も起きなかった」は、中年になった元高校の同級生の2人の女性の間のメールのやり取りが、香りと思い出の話みたいだったのが、女性の‘怖さ’に転じ、ウーンとうなってしまった。
この短編集も、Bookmaniaの会のメンバーに読んでもらい、どれか好きだったが語り合いたいと思った。

ナベ<2008年11月27日>(阿川佐和子、石田衣良、角田光代、熊谷達也、小池真理子、朱川湊人、重松清、高樹のぶ子「あなたに、大切な香りの記憶はありますか?」文藝春秋 単行本 220ページ強)
ニックネーム nabe.kaz at 11:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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